花のゆくえ

銀木犀が咲き初める秋の日。歌川遼は、警戒区域の民家に添えられた花束を見つけた。あざやかな色彩が瞼の裏に残る理由を知っている。誰が手向けたのかもわからないそれは、同級生が抱えていたものによく似ていた。