絶対なんて嘘でしょう

 「東くんに告白されたら絶対付き合う」学科の同期である彼女の口癖。それは廊下を歩いているとき、食堂で隣に座ったとき、ぽっかり空いた隙間を塞ぐように唐突に零れ落ちる言葉。「それは光栄」いつもと同じように返すと、いつもと同じように彼女は「本気にしてないな」と不機嫌そうな顔を作る。でも。俺が本当にきみに告白すれば、きみは困って、それから俺を振るんだろう。本気じゃないのはどっちだ、毒吐く心に蓋をして、今日も彼女の声を聞く。


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