あなたの世界でただひとり

 あなたの世界でただひとり、唯一無二の絶対になりたかったと、浅ましい私が叫んでいる。
 窓際の席、おろしたままの長い髪を風にそよがせて、頬杖をついてるあなたを見るのが好き。つまらなさそうな視線のさきに、あの短い髪で双斧を振るうあなたがいることを、この教室で私だけが知っている。
 はじめは憧れ。つぎに嫉妬。それから恋慕。
 私のことだけ見て欲しいわ、なんて。
 けれど、私だけに何もかもゆるすような、そんなあなただったら。きっとこうも愛しくおもうこともなかったから――これでいいのと、裏門へ駆けていくあなたの背中を見つめる。


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